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モッピーのお知らせに注目
先日、ポイントサイトのモッピーの「お知らせ」を見ると
【重要】Apple製品でモッピーをご利用いただいている皆様へ
というメッセージが届いていました。
これによると、iPhoneやMacといったApple製品を使用中のユーザーは
- iOS11以降 : Safari
- macOS High Sierra以降:Safari
という環境にてITP設定(後述)が有効になっているとポイントサイト経由で広告を利用してもポイントを受け取ることができない可能性があるというものでした。
ITP設定とは?
ITPとは「Intelligent Tracking Prevention」の略で、Cookie(ウェブブラウザにデータを保存する機能、または保存したデータ)を利用したユーザー行動の追跡を防止するための仕組みです。
例えば、Amazonや楽天市場などでネット通販や商品の閲覧をした後に他のサイトを訪問すると、そのサイトに掲載されている広告の中にAmazonや楽天市場で閲覧した商品や関連商品などが多数表示されている、といった経験がある人は多いのではないでしょうか。
これはAmazonや楽天市場で検索・閲覧した商品の情報がCookieに保存され、他サイトではそのCookieを元にして各ユーザーごとに最適な広告表示が行われているせいで発生する現象です。
こういった仕組みは企業がユーザーの購買意欲を刺激するという意味では非常に便利なのですが、一方で自分の好みや行動(= プライバシー)を企業に把握・追跡されているユーザー側には不快に感じる人が多いという側面も抱えておりネット広告の分野では問題になることが少なくありません。
単に自分の好みの商品などが表示されるだけならあまり問題にならないかもしれないものの、一度誤ってアダルトサイトを開いてしまうとその後に他サイトで表示される広告が如何わしいものばかりになってしまうといった危険性もあり、これを共用のデバイスや職場などの人が多い場所でやってしまうと(社会的な立場に対する)ダメージが結構大きいです。
「共用のデバイスや人が多い場所でそんなサイトを見る方が悪い。」という意見はごもっともなのですが、広告の中には明らかに誤クリック(タップ)を狙っているものも少なくないので自分にその気がなくても広告を踏まされてしまって意図せずアダルトサイト等の怪しいサイトを訪問してしまう機会も結構あると思います。
ITPで追跡を防止できる
そこでユーザーの利益や快適性を守るために登場したのが「ITP = Intelligent Tracking Prevention」です。
「Tracking Prevention(= 追跡防止)」という名前の通り、上記のようなCookieによるユーザーの好み・行動の追跡を防止することでユーザーのプライバシーが意図しないところで広告表示に利用されるのを防ぐことができます。
ユーザーに有益なCookieは保持したまま
Cookieには上記のようなユーザーを不快に感じさせる広告を配信する仕組みを構築できてしまうという負の側面も大きいのですが、逆にユーザーがインターネットを利用する上で快適に過ごすことができるような仕組みを作ることができます。
例えば、ポイントサイトに一度ログインした後、一旦ブラウザを閉じた後に再びブラウザを開いて当該ポイントサイトを訪問すると再度ログインを求められることはなく、既にログインした状態であることが多いと思います(※)。
※実際にはCookieには有効時間が設定されることがほとんどなので、その有効期限を過ぎた後に再訪問する場合は再ログインが必要となります。
これはCookieに「既にログイン済みである」という情報を保存し、次回以降の訪問の際はCookieからその情報を読み取っているからです。
もしCookieがなければブラウザを開き直す度にログインする必要があり毎回手間がかかってしまうことを考えるとCookieの有用性が良く分かると思います。
このように、Cookieにはユーザーにとってメリット・デメリットの両方が存在するため、ユーザーにメリットのある機能は今まで通り利用できるようにしつつデメリットのある部分を排除するという仕組みが「ITP」には備わっており、これが単なる「Tracking Prevention」という名前ではなく「『Intelligent(= 知能の高い・聡明な)』 Tracking Prevention」という名前が付いている所以です。
調べ得(しらべとく)もCookieを利用しています
余談ですが、私が作成し運営しているポイントサイト間の広告を比較検索できるサービス「調べ得(しらべとく)」にもCookieを利用しています。
調べ得(しらべとく) – ポイントサイト広告比較検索
具体的には、
の2つの機能の実現に活用しています。
興味があれば一度ご覧下さい。
なお、Cookieは「ユーザーのブラウザにデータを保存する機能、または保存したデータそのもの」ですので、上記のページを開いて各設定を保存したからといってその内容を私が把握・収集することは一切ありません。
ポイントサイトでは大問題に
私達が普段利用しているポイントサイトにおいては、ITPの仕組みが大問題となります。
というのも、ポイントサイトでごく当たり前に行われている
- ポイントサイトで広告を閲覧し、「ポイントと貯める」等のボタンをクリックする
- 広告主のサイトを訪問して商品やサービスを購入する
- 通帳の明細に「承認待ち」の状態が記載される
- 実際に承認されてポイントが付与される
といった一連の流れにはCookieが利用されているのですが、先述の通りITPはこういったユーザーの行動の追跡を防止する仕組みであるため、もしITP設定が有効になっていると上記の追跡が正しく行えずポイント付与が行われなくなってしまうからです。
ポイントサイトは私達が好き好んで能動的に利用しているので意図しない追跡を行なう他の広告と一緒にされると困るのですが、ITPにとってはポイントサイトの追跡も他の広告も同じものであると判断されてしまうようです。
ITP設定の解除方法
以降は、ポイントサイトでポイント付与されるためのITP設定の解除方法を解説します。
2017/10/18現在、ITP設定に関する注意喚起を行っている主要なポイントサイトはモッピー・ちょびリッチの2つのみのようです(私の見落としもあるかもしれませんが)。
しかし、ポイントサイトがポイントを付与する流れはサイトが違っても基本的に同じであるはずなので、注意喚起がなされていないサイトを利用する場合においても必ずITP設定を解除しておくべきです。
iOS11(iPhoneやiPad)の場合
iOS11以降のSafariが対象となります。
「設定」→「Safari」を順に開いて「サイト越えトラッキングを防ぐ」をOFFにすればOKです。
先日配信されたiOS11へアップデートすると「サイト越えトラッキングを防ぐ」は標準でONになっているため、アップデート後は必ず設定解除しなければなりません。
macOS High Sierraの場合
macOS High Sierra以降のSafariが対象です。
私はMacを所持していないのでここでITP設定の解除方法を示すことはできませんが、「High Sierra ITP設定」などのキーワードでググれば設定変更の方法が出てくるようなので調べてみて下さい。
High Sierra ITP設定 – Google 検索
Apple製品を用いなければOK
長々とITP設定や設定の解除方法について解説してきましたが、一番簡単な対策はポイントサイトを利用するときにApple製品を用いないことです。
ITP設定が存在しないAndroidのスマホやWindowsのパソコンでポイントサイトを利用すればITPが問題になることはあり得ないからです。
もし、iPhone・iPad・Mac以外のスマホやパソコンを持っているならそれらを使うのが無難だと思います。
私自身もiPhoneを持っていますが基本的にはパソコン派でありスマホから広告を利用することはほぼ皆無なのでITP設定が問題になることはなさそうです。
唯一、iPhoneでスマホアプリインストールを利用することはたまにありますが、仮にポイントが付与されなかったとしても1件で数円~数十円程度なので別に良いかなという感じです。
まとめ
AppleといえばApp Storeからお小遣いアプリを締め出し、その際に一部のお小遣いアプリがウェブブラウザ版としてリニューアルしたという出来事がお小遣いサイト界隈では有名です。
しかし、App Storeから逃げたから一安心かと思いきや今度はウェブブラウザにおいてもお小遣い稼ぎに支障が生じる仕組みを導入してきたので、ポイントサイトや私達ユーザーにとっては非常に迷惑な話だと思います。
ただ、ネット上(特にスマホ)に溢れている節操のない広告の数々がAppleにこのような仕組みを取り入れることを決定させたと考えると致し方ないのかなという感じもします。
私はポイントサイトを利用するいちユーザーである一方でウェブ上に広告(友達紹介用のバナー等)を掲載する側の人間でもあります。
今後、ウェブの広告掲載に関するルールが雁字搦めになってしまったり、広告ブロックが大幅に普及してしまったりといった事態を避けるためには広告を掲載する側のモラルがより一層大事になってきますので、そのことを胸に刻んだ上で当サイトの運営を継続しつつ、今後のウェブ広告業界の動向についても注視してきたいと思います。
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